5. 汚い惣菜キッチン
近年、新規出店の店舗では惣菜部門に限らず、作業場をガラス張りやオープンスタイルにして演出する傾向が強まっている。しかし率直に言おう——汚いのだ。
問題のひとつは、お客様から見えるところに無造作に置かれたトレー類と、包装ビニールが破れたまま積み重ねられた様子だ。新店であってもこれでは清潔感が損なわれる。
この「トレー問題」にいち早く気づいたのが阪急オアシスである。同社の新店ではオープンキッチンを採用しつつ、トレー置き場を足元の低い位置に設けてお客様の視線から遮る工夫をしている。作業効率の面では上部にあるほうが楽なのは事実だが、それでも見た目を優先した判断は評価に値する。お客様の深層心理において「あの店は清潔」というイメージは、強力な差別化要素になる。
コロナ禍を経て、消費者の衛生・清潔感への意識は以前より格段に高まっている。透明なガラス越しに見える調理場が汚ければ、購買意欲を著しく下げる。飲食店のオープンキッチンでは、磨き上げられたガラスや定位置管理された調理器具が当たり前のようになっているのと対照的に、スーパーマーケットのガラス張りキッチンは多くの店舗でガラスが油汚れや水垢で曇ったまま放置されている。ロテサリーオーブンや焼き鳥コーナーのガラスも、開店当時の輝きを保っている店舗はほぼ皆無だ。専門業者による定期的な清掃を計画に組み込むことを強く推奨したい。
ちなみに、鮮魚売場のガラスケースもうろこや水垢が付着した状態で放置されているケースが目立つ。清潔感は「食への信頼」の基盤である。どの部門においても、日常的な清掃と定期的な専門清掃の徹底が不可欠だ。
目次
- グローサラント
- 中食市場が拡大した理由
- 寿司の不思議
- 土用丑の日
- 汚い惣菜キッチン
- 総菜売り場のカラーコントロール
- インスタ映え
- ネット(宅配)と総菜
