記事のポイント
- 消費税は一律税率であるため、収入に占める消費の割合が高い低所得層ほど、所得に対する負担割合が大きくなる「逆進性」を持つとされる
- 標準世帯(2人以上世帯、年間食費約90万円)では、1%特例減税により年間5〜6万円程度の負担軽減が見込まれるという民間試算がある
- 軽減税率という手法には、高所得層も同様に恩恵を受けるため「絶対額では高所得層ほど減税額が大きくなる」という側面も指摘されている
消費税は誰に対しても一律の税率が適用されるため、収入のうち消費に回す割合(平均消費傾向)が高い低所得層ほど、所得に対する税負担の割合が大きくなる「逆進性」を持つと指摘されています。日本生活協同組合連合会の「消費税しらべ」(2018年3月発表)によれば、年収400万円未満世帯の消費税負担率は収入の5.72%、年収1,000万円以上世帯では2.80%となっており、その差は2倍を超えます。
2027年からの1%特例減税は、この逆進性を和らげる時限的な施策と位置づけられています。第一生命経済研究所等民間シンクタンクの試算によれば、標準的な世帯(2人以上世帯、年間食費約90万円)では、年間5〜6万円程度の負担軽減が見込まれています。物価高が続くなかで、家計への影響が数字として示されていることは、施策の意義を測る材料になります。
一方で、軽減税率という手法そのものには、ひとつの構造的な特徴があります。食品の税率を一律に下げるため、所得の多寡にかかわらずすべての世帯が恩恵を受けますが、支出額そのものが大きい高所得層ほど、絶対額としての減税効果も大きくなるという側面です。逆進性を緩和する目的の施策でありながら、その恩恵の受け方には別の偏りが生まれる――この点は、あまり語られないものの、押さえておく価値があります。対比される手法として、低所得層に対象を絞って現金給付や減税を行う「給付付き税額控除」がありますが、対象者の所得を正確に把握する仕組みや、マイナンバーの普及・事務コストという別の課題を抱えています。
参考までに、所得税のように所得が高いほど税率も上がる「累進課税」の仕組みと比べると、消費税の性質の違いがより際立ちます。所得税は「稼ぐ力に応じて負担する」設計であるのに対し、消費税は「使う金額に応じて負担する」設計であるため、そもそも公平性の測り方が異なる税です。海外では給付付き税額控除に近い制度を採用する国もありますが、日本では所得把握の仕組みが十分に整っていないこともあり、導入のハードルは低くありません。
これは制度そのものの良し悪しというより、「一律に広く配る」手法と「対象を絞って届ける」手法のどちらにも、それぞれ異なる公平さの捉え方があるということです。軽減税率は即効性があり誰にとってもわかりやすい一方、支援の的の絞り方としては粗く、給付付き税額控除は的を絞れる一方、実務上のハードルが高い――このトレードオフを踏まえて2027年の制度が選ばれたと言えます。
スーパーマーケットの現場にできることは、税制議論そのものに答えを出すことではなく、日々の商品提案を通じて、食費の負担感にどう向き合うかという実務的な選択肢を示すことではないでしょうか。
