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第10回:なぜ生産性改善は「リバウンド」するのか——一過性で終わらせない仕組みづくり

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なぜ生産性改善は「リバウンド」するのか——一過性で終わらせない仕組みづくり

記事のポイント

  • 生産性向上の取り組みが数ヶ月で元に戻ってしまう最大の要因は、それが一時的な人時削減イベントとして推進されることにある
  • 人時生産性を軸にしつつ、人時売上高・人件費率・顧客満足度・レジ待ち時間・欠品率などを合わせて見る「バランス型KPIダッシュボード」という考え方がある
  • 労働時間を削りすぎると欠品や顧客満足度の低下という形で跳ね返り、結果的に人時生産性自体が悪化するというブレーキ構造が働く

生産性を上げる取り組みが長続きせず、数ヶ月で元の非効率な状態に「リバウンド」してしまう——こうした経験を持つ店舗は少なくないでしょう。たとえば、一時的にシフトを絞って人件費を圧縮しても、数ヶ月後には元の配置に戻ってしまう、という光景は珍しくありません。その最大の要因は、改善が一時的な人時削減イベントとして推進されることにあるとされています。

店舗全体が自律して生産性を改善する仕組みを定着させるための一つの考え方として、人時生産性(粗利益高÷総労働時間)を軸に、人時売上高、人件費率(人件費÷売上)といった財務指標に加え、顧客満足度、レジ平均待ち時間、欠品率といったサービス品質の指標を合わせて配置する「バランス型KPIダッシュボード」があります。店長がこれらの指標を一目で確認できるようにすることも重要で、日々の判断のたびに複数の帳票を見比べる手間そのものが、改善の継続を妨げる要因になり得ます。労働時間を無理に削りすぎると、品切れが発生して売上・粗利が減少し、レジ待ち時間の悪化が顧客満足度を下げ、結果として人時生産性そのものが悪化するというブレーキ構造が働くとされています。

この構造が示唆するのは、人時削減という単一の指標だけを追いかける評価の仕方そのものに無理があるという可能性です。もう一つ欠かせないのが、ある店舗で見つかった小さな改善の工夫を、他の店舗にも素早く広げる仕組みです。特定の店舗だけが工夫を重ねても、その知見が本部を通じて共有されなければ、チェーン全体としての生産性は底上げされません。

生産性改善が「リバウンド」する背景には、現場の怠慢というより、本部が店舗を評価する仕組みそのものが「今月、何時間減らせたか」という単月の数字に偏っている、という構造上の問題があります。バランス型のダッシュボードを導入しても、評価や査定の場面で結局「人時削減の実績」だけが重視されるなら、現場は同じように短期的な帳尻合わせに走ってしまうでしょう。横展開の仕組みも、優れた工夫を見つけて終わるのではなく、他店で実行に移されたかまで追いかけて初めて機能します。指標を増やすことと、その指標に基づいて実際に評価する仕組みを変えることは、切り分けて考える必要があります。

自社で生産性改善の取り組みが定着しないとしたら、それは現場の問題なのか、それとも店舗を評価する本部側の仕組みの問題なのかを振り返ってみることが、次の一歩につながるのではないでしょうか。

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