執筆者:原田明人
イノベーション営業に通じる新規ビジネスの事例をご紹介いたします。
スタートトゥデイ
皆さんは、「スタートトゥデイ」をご存じでしょうか。
スタートトゥデイは、ファッションショッピングWebサイト 「ZOZOTOWN」を運営する会社で、 前澤友作氏が立ち上げから経営を行っていました。前澤氏は2018年に「ZOZOTOWN」を運営する会社を、 「株式会社ZOZO」と社名を変更し、代表取締役を退任し、新会社として「スタートトゥデイ」を立ち上げました。 前澤氏は、「スタートトゥデイ」を立ち上げ直した際に、「またゼロから新事業を起こしていく予定」と語っていました。
そして、2020年の2月に「スタートトゥデイ」が100億円を新規ビジネスに出資して、イノベーションの種を育てていくと発表し、新規ビジネスアイデアを広く募集していました。 それ以降、前澤氏の活動は殆ど明かされていませんでしたが、2021年の1月1日、以下のような13事業(14社)に出資すると発表がありました。
海中旅行や有名人に動画を注文できる事業など、ちょっと変わったユニークな事業もあり、今後の事業展開が楽しみなものばかりです。
注目すべきは、すべて、世の中にある社会課題を解決したり、世の中にある夢を追うビジネスに出資している点です。 世の中が、コロナ環境下での対応に苦しむ中で、こうした社会課題や夢を追う事業を育てていこうと考える前澤氏の視点は流石ですね。
これからも、こうした社会課題や夢を追う事業が立ち上がり、投資家や金融機関が事業を育ていく世の中を作り上げていきたいですね。
- フィンテック事業:「(株)ARIGATOBANK」を設立。お金に困る人をゼロにする金融事業
- ひとり親の養育費保証事業:「(株)小さな一歩」を設立。「養育費あんしん受け取りサービス」の展開
- ペットを幸せにする事業:「(株)トレッタキャッツ」に出資。AIカメラ付き猫トイレにより、飼い主がスマホで健康管理できるサービス
- サバの養殖事業:「フィッシュ・バイオテック(株)」に出資。アニサキスのリスクのないサバを養殖
- 釣りSNS事業:「(株)アングラーズ」に出資。釣果情報を釣り人が共有できるSNSアプリを運営
- 自宅で健康チェック事業 ※2社に出資 ・「(株)ユカシカド」は、自宅でできる尿による栄養検査とその結果に応じて基礎栄養素を保管するパーソナライズサプリを販売 ・「MEDERI(株)」は、自宅でできる女性ホルモンチェックとパーソナライズされた健康サポートを実施
- 医療介護マッチング事業:「(株)クラセル」に出資。要介護者に施設を紹介斡旋するための医療ソーシャルワーカーらに向けたプラットフォームを運営
- プライベートジェット事業:「(株)オープンスカイ」に出資。プライベートジェットの会員制サービスを運営
- 海中旅行事業:「(株)シーバルーン」に出資。5人乗りアクリル製球体型潜水艇で海中散策するツアーを提供
- 有名人に動画を注文できる事業:「(株)オクリー」に出資。著名人や有名コーチらが個人向けにパーソナル動画を販売するサービスを展開
- 子供の才能を伸ばす事業:「(株)トイエイトホールディングス」に出資。子供の才能をAI分析し、個々に適した遊びや教育プランなどをコンサルティングするサービスを展開
- 大学生向け履修管理SNS事業:「(株)ペンマーク」に出資。大学生向け履修管理SNS、大学DXの推進に向けたサービスを展開
- 政治家の選挙活動支援事業:「(株)センキョ」に出資。名簿管理や得票予想などのクラウドサービス「スマート選挙」を展開
※事業名・解説はYahoo!ニュースに2021年1月1日に掲載された記事を参照しています
ビジネスモデルキャンバス
続いては、新規ビジネスモデル全体を描く際に役立つフレームワークについてです。
皆さんは、最近、キャンバスに絵を描いていますか? 新規ビジネスを構想する際にも、キャンバスに描いてみると良いです。 ビジネスモデルキャンバスは、ビジネスモデルを下記の9つの要素に分けて描き、 要素のつながりを整理しつつ、全体像を組み立てるのです。
- 顧客セグメント(Customer Segment) 誰に商品・サービスを提供するかを描き、その顧客が抱えている問題についても描きます。
- 提供価値(Value Propositions) 顧客に対してどのような価値を与えるのかを描きます。 顧客の問題を解決することか、顧客の生活を便利にするのか、コストの削減などに寄与するのか、新たな可能性を提供するのかなどを描きます。
- 顧客との関係(Customer Relationships) 顧客とどんな関係性をもつのかを描きます。 関係性とは、顧客を新規に開拓するのか、既存顧客を維持するのかが大きな視点となり、 その関係性をどのように構築するかをマーケティングの4Pとして描きます。
- チャネル(Channels) チャネルは、顧客にビジネスの価値を提供する経路、またはその価値を宣伝する経路です。 チャネルには、営業部隊・Web・直販店などの直接チャネルと、販売店・卸業者などの間接チャネルがあります。
- 収入の流れ(Revenue Streams) 顧客からどのようにお金を払ってもらうのかを描きます。 ここを描く際は、提供価値、顧客との関係を考慮し、どれくらいの対価とするかを決定します。
- キーアクティビティ(Key Activities) キーアクティビティとは、ビジネスモデルの実現のために、 会社として取り組まなければならない活動のことです。 例えば、販売、製造、物流、サポートなど、どのような機能を担うのかを描きます。
- キーリソース(Key Resources) キーリソースとは、ビジネスに必要な経営資源のことです。 経営資源には、ヒト、モノ、カネ、情報があり、自社の強みとなる資源をどのように活かすのかが重要となります。
- キーパートナー(Key Partners) ビジネスモデル実現のために必要な支援者について描きます。 ビジネスを展開するためには、販売、製造、物流などの経営機能が必要になりますが、 その一部分を担ってくれる支援者が誰なのかを描きます。
- コスト構造(Cost Structure) ビジネスモデル実現に必要なコストについて描きます。 ビジネスを展開するうえでは、人件費や販売費、仕入コスト、製造コストなどが必要となります。
ビジネスモデルキャンバスでは、9つの要素を1枚のキャンバスに描くので、 要素間の関係が明らかになり、ビジネスモデルの全体像を把握することができます。 また、社内にビジネスモデルを説明する際にもわかりやすく説明できるメリットがあります。
皆様もビジネスプラン発想にビジネスモデルキャンバスを用いて楽しく描いてみてはいかがでしょうか。