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株式会社イチケン様

建設業

現地ゼネコンとの協力関係構築や駐在員事務所開設等ベトナム進出を幅広くサポート

1930年創業の株式会社イチケン様(以下、イチケン様)は、食品スーパーマーケットやショッピングセンターなどの商業施設の建設・内装・改装工事を中核として、マンションやホテル、公共施設まで幅広く手掛ける総合建設業です。これまでは、ほぼ国内での建築工事を中心とした事業展開を行ってこられましたが、新たな成長基盤を構築していくため、新規事業のひとつとして海外にも目を向けられ、2018年11月にベトナムに「ハノイ事務所」(駐在員事務所)を開設されました。

また、ベトナムの大手ゼネコンのAZB JOINT STOCK社様(以下、AZB社)と『協力関係構築に関する覚書』を締結。現地パートナーとして協力関係を樹立し、ベトナムでのビジネスモデルの創出に向けて、新たな一歩を踏み出されました。

今回はイチケン様のベトナム進出の実務にご尽力された経営企画室の太田様、芳賀様に海外展開の経緯から具体的な内容、今後の展開などについてお話をお伺いしました。日本コンサルタントグループ(以下、ニッコン)は、イチケン様のベトナム進出を包括的に支援。ベトナム進出のきっかけとなった「アジア工学人材採用面接会(ベトナム訪問ツアー)」の主催から、現地視察、AZB社様とのマッチング、駐在員事務所開設支援など、多彩な分野におけるお手伝いをさせていただきました。

ベトナム市場への進出に向けて

――海外市場進出の背景・経緯についてお教えください。

太田様)日本国内の建設市場は中長期的に見れば高齢化や人口減少などに伴い、徐々に先細りしていくと思われます。こうした環境の中、当社は中期経営計画(2015年度~2019年度)の重点施策のひとつに「新規事業への取り組み~新たな成長基盤を構築~」を掲げ、新たな市場の選択肢として海外市場の可能性を検討していました。当社とお取引を頂いております大手流通企業やスポーツクラブ、ホテル事業を運営している各社も海外でのビジネス展開を図っており、当社にも海外における建設に関しての引き合いをいただいていたことも海外市場進出を目指そうとした背景になっています。進出先としてはアジア諸国を念頭に置いていましたが、どの国に、どのようにアプローチしていくのか、先行して進出している同業他社も、相当に苦労していることをリサーチしていましたので、海外事業経験の乏しい当社がどのような形で展開していくことが良いのか、検討を重ねていたというのが正直なところです。

――ベトナム市場への進出を決めたのはなぜでしょう。

太田様)海外市場進出について検討を重ねていたところ、ニッコンさんの建設産業研究所 加藤所長から「海外進出へのご興味がおありであれば、ASEAN諸国、中でも成長が著しく親日的なベトナムを検討されてはいかがでしょうか?ニッコンの主催でベトナムの建設系上位大学の人材を日本企業に紹介する『アジア工学人材採用面接会』を計画しているため、現地視察を兼ねて参加されてはいかがですか?」とのご提案をいただきました。ニッコンさんとは社内研修で長いお付き合いをさせていただいており、当社のことを良くご存知でしたので、私を含めて3名の社員がベトナムに赴き、現地の学生との対話やローカル企業との交流により現地の状況を肌で感じてきました。これが、3年程前のことで、ここからすべてがスタートしました。

駐在員事務所開設と現地ゼネコンと協力覚書を締結

――その後、駐在員事務所を開設し、現地の大手ゼネコンであるAZB社様(本社:ホーチミン)と「協力関係構築に関する覚書」を合意されますが、どのような形で進められたのでしょう。

太田様)前出の視察後、当社社長の長谷川とベトナムでの取り組みを本格的に進めていくことを確認し、ニッコンさんには改めて当社仕様の現地視察をアレンジしていただきました。この視察時は長谷川社長以下、設計や工事を担当する技術者、人事担当者など、担当分野の異なるメンバーで視察団を組みました。ニッコンさんには、通訳を兼ねたアテンドと現地の鉄骨造の建物、実際の建設現場、鉄骨のサプライヤー工場見学等をコーディネートしていただき、技術や人材活用など多角的な視点からベトナムの建設市場の環境を視察しました。この視察中に、現地の大手ゼネコンで鉄骨造を得意とするAZB社様のご紹介を受け、お話をさせていただく機会を得ました。

――AZB社様との協力関係構築はスムーズに進んだのでしょうか。

太田様)当社としても単独でベトナムに進出するよりも何らかの形で現地の協力パートナーが必要になることは当初から想定していました。現地での当面の目標をベトナムの商習慣や法令の理解、建築技術水準の把握、市場調査、ネットワークづくりなどから始めることを考えていましたので、視察でご紹介を受けたAZB社様と協力関係を構築できれば最良であると考えていました。そこで、まずはお互いの信頼関係を樹立することが大切だと考え、一足飛びに出資や業務提携を持ちかけるよりも、より緩やかな枠組みの中で、相互発展の目的や今後の目標を文書化した「協力関係構築に関する覚書」を提案し、お互いに合意しました。合意に先立ち2018年1月にAZB社様を日本にお招きし、当社の施工現場にご案内して日本の標準的な施工管理や安全設備、品質管理の方法、帳票類などを見ていただきました。AZB社様にとっても、今回の覚書合意によって、日本式の建築仕様や安全設備、工法などの情報をもとに、自社の建築技術向上を図る機会を得られるとともに、ベトナムに進出する日系企業へのアプローチの足掛かりになるのではないでしょうか。

――「ハノイ事務所」開設についてお教えください。

太田様)ベトナムでの事業展開は中長期的な視野で段階を踏んで実施していきます。当初の目的は先ほど述べたように現地での基盤づくりのため、営利活動を伴わない駐在員事務所からのスモールスタートで始めることにしました。

芳賀様)「ハノイ事務所」は、ニッコンさんのご提案を受けてハノイ土木大学のキャンパス内に開設しました。大学内には建築技術や法律関係など建築に関わる様々な分野の専門家や研究者の情報が集っていますので、人脈づくりや当社を認知してもらうことなども含め、良いロケーションに事務所を構えることができたと考えています。また、通訳や電話応対、ベトナム語での資料作成などの日常業務はハノイ土木大学にアウトソーシングしておりスムーズに行うことができています。現在、現地責任者の所長として技術職出身の奥田執行役員が単身で赴いているのですが、当面は現地の相手先と意思疎通するためベトナム語の通訳が必要ななかで、日本語も堪能で行政関係にもネットワークのある優秀なスタッフが支援してくれていますので大変心強く思っています。

――駐在員事務所開設にはご苦労もあったとお聞きしていますが。

芳賀様)そうですね。私にとっても海外に駐在員事務所を開設することは初めての経験でしたので、当初は戸惑いました。ベトナム国内の手続きに関しては、ニッコンさんの現地ビジネスパートナーから弁護士事務所などを紹介してもらい任せることができました。ただ、言葉の壁は無論のこと必要書類の手配やリーガルチェックの依頼・変更・確認、監督官庁との折衝等、当社が対応する想定外の作業量と煩雑さに辟易しました。私は行政書士の資格を有しているのですが、日本国内での会社設立や建築関連の届出とも勝手が異なり大変苦労しましたが、大きなトラブルもなく2018年11月15日にハノイ事務所を開設しました。そして同19日にはAZB社様の社長他幹部を再度日本にお招きし、イチケン本社で「協力関係構築に関する覚書」の調印式を行いました。(1ページ目集合写真)

海外での新たなビジネスモデル構築へ

――今後の展開をお教えください。

太田様)海外事業は中長期的な取り組みとして位置付けており、当面はベトナム現地の基盤づくりを着実に実行していきます。AZB社様との関係に関しては、毎年、次年度のビジョンと活動内容を協議していきながら、3年後迄を目処に合弁会社の設立を判断することになっています。もちろん、コストや技術レベルなどの面で、ベトナム市場で収益を上げていくビジネスを展開するには、様々な問題を克服していかなければならないことも認識しています。AZB社様ともどのようなパートナーシップを組むことがより良い関係に発展できるのか、或いはベトナム市場にふさわしい当社のビジネスモデルはどういった形なのか。こうした経営課題に慎重に取り組みながら、ベトナム市場での展開を図っていきたいと考えています。

――ニッコンにはどのような評価を持っていらっしゃいますか。

太田様)ニッコンさんには今回のベトナム進出を包括的にサポートしていただきました。足掛け3年にわたる取り組みで紆余曲折を経ましたが、こうしてベトナムに拠点を構築できたことはニッコンさんのサポートによるものと感謝しています。また、加藤所長をはじめベトナム出身のニッコン社員の方々には何度も現地に同行してくださり、熱心に、積極的にサポートいただきましたし、紹介してくださった現地のビジネスパートナーの方々も親身になってお手伝いいただきました。今回の一連の業務でサポートいただいた現地の皆様とは、今後も末永くお付き合いをさせていただきたいと思っております。

――今後はニッコンにどのようなことを期待されますか。

太田様)今回ニッコンさんのサポートにより形となりました「ハノイ事務所」とAZB社様との「覚書」は、今後のベトナムでの事業展開のための足掛かりになります。これからは奥田所長が中心となり、腰を据えて事業計画を実行するステージに移ります。今後の活動過程では、ベトナムに太いリレーションを持たれているニッコンさんに何らかのご支援をお願いすることがあるかもしれませんので、その際には惜しみないご協力をお願いしたいと思っています。そして、ベトナムだけでなく他の東南アジア諸国への取り組みにも力を入れられているニッコンさんには、今後も大いに期待しています。

お話を伺った方:経営企画室 室長代行 太田 一範 様
        経営企画室 課長   芳賀  仁 様

取材地:株式会社イチケン 本社

公開日:2019年2月1日(名称等は、公開当時のものです)

企業情報

会社名株式会社イチケン
会社所在地〒105-0023 東京都港区芝浦1丁目1番1号(浜松町ビルディング)
創業昭和5年6月
代表者代表取締役社長 長谷川博之
資本金43億21百万円
株式上場東京証券取引所 第1部
営業種目総合建設業
貸ビル賃貸業
住宅・商業施設ディベロッパー事業
都市環境整備事業
複合商業施設企画・設計・施工・監理
専門店舗企画・設計・施工・監理
公式サイトhttps://www.ichiken.co.jp/

コンサルタントの声

 加藤 浩之

長谷川社長様とは、建設業の経営を取り巻く様々なことがらについて折に触れ情報交換をさせていただいております。

国内環境に対して、全階層にわたるコンプライアンス研修や営業部門の顧客対応力向上と新規顧客の開拓策のご支援をさせていただいております一方で、国際化の足がかりとして、2016年9月、ベトナムにおいて現地採用面接会・ビジネスマッチング・ローカル企業視察、建設現場見学など海外市場および海外人材起用についての現地調査をアテンドさせていただきました。翌2017年2月には、長谷川社長様が団長となり管理、技術、営業の各部門から役員幹部が参加する合同調査をご支援いたしました。

  • 海外展開は国内市場でのゆるぎない営業基盤づくりを怠らないこと
  • 各部門幹部社員が海外市場を十分体感で理解できるようにすること

工事毎に現地屋外一品生産である建設業は、工場に機械を置き生産を繰り返しながら品質やコストを改善してゆくことが出来ません。この点から特に、民間建築分野では、国内の成功ビジネスモデルを持ち込む進出横展開は難しいと考えています。

  • 東南アジアでは、生産、住宅、商業施設建設が拡大する
  • 建設施工以外の自社の強みを活かす価値づくりが必要

ビジネスモデルは、クライアント様の個性や強みによって様々に変わります。ビジネスモデルのファクターとしてカウンターパートとのマッチングを重視しています。イチケン様の真摯な取組姿勢は本当に素晴らしいものです。「利益先行ではなく、自分たちに何ができるか」を社員の皆様が気持ちをひとつにしてパートナーシップを実践されています。

  • 目的を明確にして、パートナーとの協力関係をつくること
  • パートナーに利益を求めるより、何ができるかを考えること

今後もクライアント様のビジナスモデルのあり方を追求し、可能な限りリスクを伴わない東南アジアでのビジネス展開の実現を目指し、情熱と誠意を持って精一杯取り組んで参ります。

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ニッコンでは、企業規模の大小や業種に関わらず、各社のご要望に合わせた人材育成プランをご提案いたします。
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