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第5回:「作業割当表」をAIに任せてわかったこと——店舗責任者に生まれた、本当の余白

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記事のポイント

  • LSP(レイバー・スケジューリング・プログラム)は、その日の総作業量を標準作業時間に基づいてスケジュール化し、スタッフを最適配置する仕組みである
  • 首都圏で122店舗を展開するサミットは、独自のL.S.P.運用にAIを組み合わせ、作業割当表の作成業務の95%を自動化したと公表している
  • AI導入によって年間約8万時間、人件費換算で約1.2億円相当の効果が生まれたと報告されているが、この効果の本質は「作成作業からの解放」にあるという見方もできる

多くのスーパーでは、部門チーフが自身の経験に基づいてその日の作業指示を出しています。判断の拠り所が個人の頭の中にしかないため、チーフが不在の日には作業計画の精度が落ちてしまうことも珍しくありません。しかしこれでは計画に客観的な整合性が欠け、スタッフの待ち時間や作業の抜け漏れが生じやすくなります。この課題に対する一つの答えが、LSP(レイバー・スケジューリング・プログラム)という考え方です。

LSPは、売上計画や曜日特性から予測される総作業量を、標準作業時間に基づいて10〜15分刻みの「作業割当表」としてスケジュール化し、各スタッフのスキルに応じて配置する手法です。首都圏に122店舗を展開する食品スーパー「サミット」は、1985年から独自にL.S.P.を運用してきましたが、約200項目に及ぶ作業区分を毎月割り当てるために店舗責任者が日々30分〜1時間を費やしていました。同社はAIベンチャーと共同で、出勤データや作業優先度といった変数から最適な割当パターンをわずか約1分で提示するアルゴリズムを開発し、2023年4月に全店舗へ導入した結果、作成業務の95%を自動化しています。店舗責任者の作業時間は1日30〜60分程度から10〜20分程度にまで圧縮され、年間延べ約8万時間(人件費換算で約1.2億円相当)の効果を生んだと公表しています。

この事例が示すのは、単に「作業が速くなった」ということだけではありません。店舗責任者が担っていた「割当表を作る」という作業そのものが、判断以外の時間を大量に消費していたという事実です。

この効果の本質は、「AIが最適な配置を計算した」という点よりも、店舗責任者が本来集中すべきだった「その日の売場をどう作るか」という判断業務に、初めてまとまった時間を割けるようになったことにあるはずです。たとえば、その日の天候や近隣のイベントを踏まえた発注量の微調整や、経験の浅いスタッフへのその場での指導といった仕事です。こうした判断の質は、割当表の作成が自動化されるだけでは向上しません。作成作業からの解放が判断の質そのものを底上げした可能性は、数字には表れにくいものの見過ごせません。

自店の店舗責任者やチーフが日々の「作業」に費やしている時間のうち、本来「判断」に充てられるべきだった時間はどれくらいあるでしょうか。一度、1週間分のスケジュールを「作業」と「判断」に色分けしてみるのも一案です。

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