~分子を減らすか、分母を増やすか。構造を理解すると打ち手が見える~
ロス率の改善に取り組む前に、まず「ロス率」の構造を正確に理解することが重要です。なぜなら、構造を知らずに対策を打つと、やればやるほど逆効果になることがあるからです。
(図4)ロス率の構造

この分数の構造から、ロス率を改善するためのアプローチは2つしかありません。
- 分子の「ロス額」を減らす
- 分母の「売上」を増やす
そして、3種類のロスはそれぞれ異なるアプローチに対応しています。
廃棄ロスを減らす → ロス額(分子)が減る
廃棄ロスを削減すると、ロス額が直接減るのでロス率は下がります。これは最もシンプルなアプローチです。
さらに重要なのは、廃棄という行為はそれまでのすべての労力をゼロにするという点です。仕入れ・搬入・加工・陳列という一連の作業が、廃棄の瞬間にすべて無駄になります。廃棄ロスを削減することは、ロス率の改善だけでなく作業の生産性向上にも直結します。「あの人、毎日一生懸命に揚げ物を作っているのに、半分以上捨てている」——現場でそんな状況を見たことはありませんか?本人にとっても、会社にとっても、これほど損なことはありません。
機会ロスを減らす → 売上(分母)が増える
品切れを解消すると、「あれば売れていたはずの売上」が実現します。つまり分母の売上が増え、ロス率が下がります。それだけでなく、機会ロスを減らすことはお客さまの満足度向上に直結します。「あの店はいつも品揃えがいい」という信頼の積み重ねが、長期的な客数維持・増加につながります。
値引きロスを減らす場合は要注意
「値引きを減らしたい」と考えるのは自然ですが、ここには落とし穴があります。単純に「ロス額の多い商品の発注・製造数を減らす」と、確かにロス額は減ります。しかし同時に売上も減ってしまいます。最悪の場合、ロス率はほぼ変わらないのに売上だけが下がる、という結果になります。
そのため、値引きロスの改善では必ずロス率も同時に見ることが必要です。常に高いロス率が出ている商品を抽出し、その原因を特定した上で、発注・製造数の見直しや早期低率値引きの実施を検討します。早期低率値引きが有効なのであれば、そもそもの売価が高いかもしれませんし、それでも高いロス率が出るのであれば商品自体の問題かもしれません。
補足知識:ロス率が慢性的に高い商品は、①発注・製造数が多すぎる、②そもそもの売価が高すぎる(お客さまに選ばれない)、③商品自体の魅力が不足している、のいずれかである可能性が高い。この3つの仮説をデータで検証することが、効果的な改善の出発点です。
