~店とお客さまでは、ロスの「見え方」がまったく違う~
「ロス」という言葉を聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?賞味期限切れで捨てた商品?閉店前の値引きシール?実はロスには大きく3種類あり、それぞれに全く異なる性質があります。
3つのロスの定義
- 値引きロス:定価より「○○%引き」「○○円引き」で販売することによるロス。売れたことは売れたのですが、想定していた粗利益が取れなかった状態です。
- 廃棄ロス:消費期限・賞味期限・販売期限切れ、あるいは品質・見栄えに問題があり、お客さまに販売できない状態になった商品を廃棄することによるロスです。原価だけでなく、それまでの作業負担もすべてゼロになります。
- 機会ロス:「あれば買っていただけたはずなのに、商品が無かったために、お客さまが購入できなかった」ことによるロスです。品切れ・欠品とも言います。
この3つのロスを、店側とお客さまの両方の視点から見てみると、非常に興味深い構図が見えてきます(図3)。
(図3)「店側の視点」と「お客さまの視点」のギャップ

ここに現場の落とし穴があります。特に注目したいのが「機会ロス」です。
店側からすると「完売した=ロスがなく良かった」と感じます。しかし、夕方に商品棚が空っぽだったとき、お客さまは「買いたいのに買えなかった」と感じています。これが積み重なると、「あの店は夕方に行っても何もない」という評判につながっていくのです。機会ロスは目に見えず、データには現れません(時間帯別販売数、最終販売時刻である程度推測することはできます)。だからこそ、目に見えない機会ロスを見えるようにする取り組みが必要になります。
<廃棄ロス>
店側から見ると「損失」で、これは原価だけでなく、それまでの作業負担も含みます。捨てるという作業がありますので目で分かりますし、データでも分かります。お客さまには分かりません。
<値引きロス>
店側から見ると「損失」(想定していた売価で売れなかった)で、データで分かります。しかしお客さまからしたら値引いた分、安く買うことができますので、「得した」となります。ただし、これは「お客さまがその価格に納得した」場合です。大事なのは「お客さまの感じる価値 > 価格」となることで、特に生鮮食品や日持ちのしない日配食品は時間が経てば経つほど「お客さまの感じる価値」は下がっていきますので、その分、割引率を大きくしないと売れなくなります。
逆にいうと早い段階での値引きであれば、低い割引率でも売れますし、お客さまの満足度も高い可能性があります。ですから「早期低率値引き」という考え方が大事になります。例えば、午後3時に10%引きで売れる商品が、午後6時には30%引きでも売れ残る——これは現場で日常的に起きているはずです。早めに・低い割引率で販売することで、値引きロスを最小限に抑えながら売上を確保する。これが「早期低率値引き」の本質です。
<機会ロス>
店側から見ると、ロス無く売れたという意味で「利益」と感じます。しかしお客さまからしたら、自分が買いたかったものが買えなかったわけですから、「損した」と感じます。もしその商品がお客さまの目的のものであったら、せっかく来ていただいたのにがっかりした気分で帰られてしまいますし、それが続くようならば、「当てにならない店」としてそもそもご来店を避けるようになるかもしれません。
